
初詣や観光で神社やお寺を訪れた際、ふと「おみくじを二回引くのはどうなんだろう?」と迷ったことはありませんか。「今年こそは!」と意気込んで引いたのに、結果が「凶」だったり、一番気になっている「待ち人」や「恋愛」の項目が期待外れの内容だったりすると、どうしても心がざわついてしまいますよね。あるいは、同じ日に御朱印巡りなどで違う神社を訪れて、それぞれの場所で記念におみくじを引きたいと思うこともあるでしょう。
「何度も引くと神様に失礼になってしまうのでは」「運勢が下がったり、バチが当たったりするのでは」と不安を感じる方も多いはずです。また、手元に複数枚のおみくじが残った場合、それらをどう扱うべきか、結ぶべきか持ち帰るべきか、有効期限や返納のルールについても悩むポイントです。
この記事では、そんな「おみくじの引き直し」に関する素朴な疑問や、運勢を味方につけるための心構えについて、私なりの視点も交えながら丁寧にお話しします。
記事のポイント
おみくじを二回引くのは運勢的にあり?

「一度引いたおみくじの結果が気に入らないから」という理由ですぐに引き直すことや、旅先で複数の神社を巡る中で何度もおみくじを引くこと。これらは運勢的に見て「あり」なのでしょうか。実は、おみくじに対する考え方は一つではなく、状況や動機によってその意味合いが大きく変わってきます。ここでは、多くの人が抱く不安や、シチュエーションごとの適切な考え方について整理していきましょう。
同じ日に引き直す際のマナー

結論から申し上げますと、おみくじを同じ日に同じ神社で引き直すこと自体は、厳密な宗教的ルールで「絶対に禁止されている大罪」というわけではありません。神社やお寺によっては「納得いくまで引いて良い」とされているところもあります。しかし、単に「大吉が出るまで引き直す」といった、いわゆる「おみくじガチャ」のようなゲーム感覚での行動は、あまり推奨されないのが一般的であり、私としてもおすすめしません。
なぜなら、おみくじは単なる運試しではなく、その時点での神様や仏様からの「メッセージ」や「指針」として受け取るものだからです。もし、厳しい結果が出たからといって、その内容を読みもせずに「ハズレだ!」と捨ててすぐに次を引いてしまうのは、せっかく頂いた助言に対して耳を塞ぐようなものです。それは、厳しい言葉の中にある「あなたを成長させるヒント」を見落とすことになり、結果としてあなた自身の「運を受け止める力」を弱めてしまうことにも繋がりかねません。
ただし、どうしても心がモヤモヤして意味が理解できなかったり、「この悩みについてはどうだろう?」と別の視点で改めて問いたい場合もあるでしょう。そのような時は、すぐに引くのではなく、一度深呼吸をして心を落ち着けましょう。そして、改めて本殿(本堂)に向かい、「先ほどのお言葉は少し難しかったので、別の角度からご助言をいただけますか」と丁寧にお参りをしてから引くのであれば、それは真摯な対話として成立します。大切なのは回数そのものではなく、「頂いた言葉をどう活かすか」という誠実な姿勢なのです。
引き直す時のポイント
即座に引くのではなく、少し時間を置いたり、境内を散策して気持ちをリセットしてから引くのがおすすめです。「前の結果を否定する」のではなく、「重ねてお伺いを立てる」という謙虚な気持ちを忘れずに。
違う神社なら引いても大丈夫か

では、同じ日でも「違う神社」であればどうでしょうか。これは、初詣のはしごや、観光地での神社巡り、あるいは御朱印集めをしている際によくあるシチュエーションですね。これに関しては、比較的自然な行為として広く受け入れられており、問題ないと考えて良いでしょう。
日本には「八百万(やおよろず)の神」という考え方があり、それぞれの神社にいらっしゃる神様は、喧嘩をしたり嫉妬したりするような狭い心はお持ちではないと言われています。複数の神社でそれぞれおみくじを引いたからといって、神様同士が対立してバチが当たったり、運気が相殺されて下がったりすることは基本的にはないと考えられています。それぞれの神様から、異なる視点でのアドバイスを頂いたと捉えれば良いのです。
たとえば、A神社のおみくじは「仕事運」について厳しい指摘があり、B神社のおみくじは「健康運」について温かい言葉があったとします。この場合、それらは矛盾しているのではなく、「仕事は気を引き締めなさい、でも体調は良くなるから安心して頑張りなさい」という、トータルでの多面的なアドバイスとして読むことができます。複数のメンター(助言者)から意見をもらうような感覚で、それぞれの言葉を統合して自分の指針にしていくのが、賢いおみくじの活用法です。
複数の結果をどう読む?
もしA神社で「吉」、B神社で「小吉」が出たとしても、それらを「どっちが正しいか」と優劣で比べる必要はありません。それぞれの内容を読み比べ、「今の自分に特に響く言葉」や「共通して書かれている注意点」を大切にしてください。それが、今のあなたに本当に必要なメッセージです。
凶が出たから引き直したい場合

おみくじを開いた瞬間、「凶」の文字が目に入ると、心臓がドキッとしてショックを受けますよね。思わず「これは無かったことにしたい!」「嘘だと言ってほしい!」と、すぐに引き直したくなる気持ち、とてもよく分かります。ですが、ここはいったん深呼吸をして、冷静になりましょう。実は、多くの神社やお寺では「凶は運勢の底であり、これからは上がるだけ」という、ポジティブな転換点(ターンオーバー)として捉えられているのです。
おみくじの「凶」は、「これから悪いことが確定している」という呪いの宣告ではありません。「今のままの生活態度や考え方で進むと、落とし穴がありますよ」という、神様からの愛ある警告(アラート)なのです。凶のおみくじをよく読んでみると、「足元に注意」「言葉に気をつけよ」「急ぐな」といった、今の生活で気をつけるべき「具体的な注意点」が必ず書かれています。
浅草寺のように、古来の確率を守って凶が比較的多く入っている場所もあります。そういった場所で凶が出ることは、ある意味で「正直な現状」を教えてもらっているということ。すぐに引き直して無理やり「吉」を出して安心するよりも、まずはその凶のおみくじをしっかりと熟読しましょう。「ここを気をつければ災いを避けられるんだ」と理解し、日々の行動を改めることこそが、「凶」を「吉」に変えるための最短ルートであり、本当の意味での開運アクションになります。
待ち人の結果が悪かった時の捉え方

おみくじの項目の中で、特に誤解されやすく、不安の種になりやすいのが「待ち人」です。「待ち人来たらず」と書かれていると、「ずっと恋人ができないの?」「結婚は無理なの?」と絶望的な気持ちになり、良い結果が出るまで引き直そうとする方がとても多いです。しかし、おみくじで言う「待ち人」とは、必ずしも恋愛対象(恋人や結婚相手)だけを指すわけではありません。
古くから、待ち人とは「あなたの人生を良い方向へ導いてくれるキーパーソン」全般を指します。それは将来のパートナーかもしれませんが、仕事で引き上げてくれる上司かもしれませんし、生涯の親友、あるいは人生を変えるような「機会」や「赤ちゃん」のことかもしれません。また、時には「あなたを助けてくれる新しい知識や本」を指すことさえあります。
ですので、「来たらず」とあっても、恋愛運がゼロという意味ではありません。「今はまだ誰かに頼る時期ではなく、自分で動くべき時期」「その出会いはもう少し先ですよ」というメッセージであることが多いのです。また、「音信(おとずれ)なし」とあっても、それは「連絡はないけれど、相手は無事だから心配するな」という意味の場合もあります。言葉の表面的な意味にとらわれすぎず、広く捉えてみてください。
「さわりあり」の意味
「さわり(障り)あり」と書かれている場合、「少し障害や邪魔が入るけれど、絶対に無理というわけではない」というニュアンスが含まれます。何かしらのハードルがあることを予告してくれているので、焦らず時期を見るか、慎重に進めるよう諭されていると解釈しましょう。
引き直すとバチが当たるという誤解

「二回引くとバチが当たる」と心配する声をよく耳にしますが、神仏が「おみくじを二回引いたくらい」で激怒し、厳しく罰を与えることは考えにくいです。日本の神様は、私たちが思うよりもずっと寛容で、親のような存在です。子供が親に「ねえねえ」と何度も同じことを聞いても、親は呆れることはあっても、いきなり家を追い出したりはしませんよね。
この「バチが当たる」という感覚は、どちらかと言えば「自分の都合だけで神様の言葉を軽んじてはいけない」という、私たち自身の良心や戒めから来ている言葉だと言えます。「良い結果が出るまでやり直す」という行為は、自分の欲望を優先させて、相手(神様)の言葉を聞いていない状態です。その心のあり方こそが、結果として慢心を生み、運気を遠ざけてしまう(=バチが当たるように感じる)原因になるのです。
逆に言えば、不安や迷いが深くて、すがるような思いで「どうしてももう一度だけ背中を押してほしい」と願って二回目を引くこと自体は、決して悪いことではありません。大切なのは「より良い結果(大吉)」だけを求めてガチャガチャのように引くのではなく、「迷いを晴らすための指針」を真剣に求めて引くことです。その真摯な気持ちがあれば、神様もきっと優しく見守ってくださるはずですよ。
おみくじを二回引く時の正しい作法

実際に二回引くことになった場合、あるいは手元に複数枚のおみくじが集まった場合、どのように振る舞うのがスマートなのでしょうか。引いた後のおみくじの扱いは、運勢を定着させるための大切な儀式でもあります。ここでは、具体的な作法や扱い方について、私が普段心がけていることを中心にお伝えします。
恋愛みくじは種類が違うのでOK

最近の神社には、一般的な「運勢おみくじ(総合的なおみくじ)」のほかに、「恋みくじ」「招き猫みくじ」「男おみくじ・女おみくじ」など、特定のテーマやキャラクターに特化したおみくじが置かれていることが増えています。これらを同じ日に、総合おみくじと一緒に引くことは、全く問題ありません。
これは、病院で例えるなら「総合診療科」で全体を見てもらいつつ、「眼科」や「皮膚科」で専門的な診察を受けるようなものです。「総合的な運勢」と「恋愛に特化した詳細なアドバイス」は、聞きたいテーマや角度が異なりますよね。それぞれ別の質問に対する答えとして受け取れば良いので、種類が違うおみくじを併用することは理にかなっています。
ただし、それぞれの結果を混同しないように注意しましょう。「総合運では恋愛は『待て』だけど、恋みくじでは『積極的に』と書いてある」といった矛盾が生じた場合は、より専門的な「恋みくじ」のアドバイスを優先するか、もしくは「全体としては慎重さが求められる時期だけど、アプローチ自体はしても良い(ただし慎重に)」というふうに、バランスを取って解釈するのがおすすめです。
結果は結ぶか持ち帰るか選ぼう

二回引くと、手元におみくじが二枚になります。これらを「境内に結んで帰る」か「家に持ち帰る」か、どちらにすべきか迷うところですが、実はどちらが正解という厳格な決まりはありません。ご自身の直感や、その時の状況に合わせて選んで大丈夫です。

- 結ぶ場合:「神様とのご縁を結ぶ」という意味があります。また、凶などの悪い運勢だった場合に、「悪い運気を境内に留めてもらい、神様の力で良い方向に転じてもらう」という願いを込めて結ぶのが一般的です。結ぶ際は、生きている木を傷めないよう、必ず指定された「みくじ掛け」に丁寧に結びましょう。
- 持ち帰る場合:日常の指針として、手帳やお財布に入れて時々読み返すことができます。おみくじには、吉凶だけでなく、生きる上での大切な教訓(和歌や漢詩など)が書かれています。自分への戒めや励ましとして活用したい場合は、持ち帰るのがおすすめです。
実際に、神社庁の関連サイトでも「読み返すことが大切」と案内されています。
(出典:石川県神社庁『おみくじの扱いはどのようにすれば良いのですか?』)
ですので、二回引いた場合、たとえば「凶の方は結んで厄を落とし、大吉の方は持ち帰ってお守りにする」という分け方をしても全く問題ありません。
おみくじの有効期限に関する考え方

おみくじには、食品のような明確な「有効期限」は書かれていません。しかし、一般的には「次に引くまで」あるいは「願い事が叶うまで(1年程度)」を目安にすることが多いです。
初詣で引いたおみくじは、その一年の指針となります。しかし、年の途中でも、転職や引越し、結婚など、人生の状況が大きく変わることはありますよね。そうした「状況の変化」があった時に、改めて神様の指針を仰ぎたくて引いたのであれば、その時から新しいおみくじが最新のガイドラインになります。

二回引いた場合は、後から引いた方が新しい期限になるというよりは、「その問題が解決するまで」が期限と考えると良いでしょう。おみくじは「予言書」ではなく「参考書」のようなものです。もし頻繁に引く習慣があるなら、その都度、前のメッセージから今のメッセージへと「更新」していく感覚で向き合うのが自然です。手元に古いおみくじがあるからといって効果が消えるわけではありませんが、今の自分の心に一番フィットする言葉を大切にしてください。
不要になったおみくじの返納方法

持ち帰ったおみくじが溜まってきたり、新しい年を迎えて古いおみくじを手放したくなったりした時は、感謝の気持ちを込めて返納しましょう。粗末に扱うのではなく、きちんと「お礼」をして手放すことで、運気の循環が良くなります。
基本的には、おみくじを引いた神社やお寺の「古札納所(こさつおさめじょ)」にお返しするのが一番丁寧です。初詣の時期などに設置される「お焚き上げ」の場所に持って行くと良いでしょう。では、遠方の旅先で引いたものの場合はどうすれば良いでしょうか。これについては、近くの神社やお寺の古札納所に納めても、一般的には許容されることが多いです。ただし、マナーとして「神社のおみくじは神社へ」「お寺のおみくじはお寺へ」返すのが無難です。
ゴミ箱に捨てるのはNG?
どうしても返しに行けない事情がある場合は、自宅で処分することも可能です。その際は、おみくじを白い紙(半紙など)に包み、粗塩を少し振って清め、「ありがとうございました」と感謝の言葉を唱えてから、燃えるゴミとして出しましょう。そのままくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てるのは避けた方が、心情的にも安心ですね。
まとめ:おみくじを二回引く心構え

おみくじを二回引くこと自体は、決して悪いことでも、運気を下げるタブー行為でもありません。大切なのは、回数にとらわれるのではなく、そこに書かれている「言葉」にどれだけ真摯に耳を傾けられるかです。
結果が良いか悪いかだけに一喜一憂して、良い結果が出るまで何度も引き直すのは感心しませんが、迷いの中で救いを求めて引くのであれば、それは立派な信仰の姿です。凶が出ても「転ばぬ先の杖」として受け入れ、生活を見直すきっかけにする。違う神社で引いたなら、それぞれの神様からのエールとして大切にする。そうやって、おみくじを「日々の生活を良くするためのサポーター」として活用していけば、何度引いても、それはあなたにとってプラスの力になるはずです。
どうか、おみくじの結果に振り回されすぎず、その言葉をきっかけに、あなた自身が良い方向へ歩き出せますように。この記事が、あなたの心のモヤモヤを晴らす手助けになれば幸いです。
※本記事の内容は一般的な通説や習慣に基づいています。神社やお寺によっては独自の考え方やルールがある場合もありますので、その際は現地の掲示や神職の方の案内に従ってくださいね。




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